忘れもしない。30代を過ぎたころ、盆休みに実家に帰省した時のこと。いつものように久々に実家に帰ってゆっくりできていたことから、寝転がってテレビを観ていた。
そうすると、母親が唐突にこう言った。「あんた、分け目を変えた方がいいんじゃない?」と。「なんで?」と聞いた私に、母は、「同じ所ばかりで分けてたら、ハゲるわよ」と言ったのだ。
その時は、「いや、めんどくさいし」と軽く思っていたのだが、帰省から戻って風呂上りのこと。鏡を見ると分け目の地肌があらわとなり、完全にハゲと見られてもおかしくない様子を呈していたのだ。
一瞬、頭がクラッとする。今まで、ハゲなんて遺伝がほとんどだ、と思い込んでいた自分にとって、縁の無い言葉だと思っていたからだ。「これは分け目とかそういう問題じゃない」と感じ、対策をすることにしたのだ。
そういえば、仕事でもストレスになる事が多くなったし、睡眠時間を削って長い間仕事をしていたのに、今さら気づいた。気にして見ると、風呂場の排水口には、おびただしい抜け毛。朝起きると、枕は髪の毛まみれ。
よくこんな状態で気づかなかったと、恥ずかしく思う。何で対策をしてよいのやら分からないでいると、たまたま見かけたシャンプーのCM。ちょっといいシャンプーに替えてみるかと。
何がいいか分からない時は、人気一位の製品を購入しようと思い、スカルプDシャンプーを選択。普通のシャンプーが500~600円くらいなのに、育毛シャンプーときたら、4,000~5,000円が相場である。
ちょっとためらいもあったが、たまたま金銭に余裕があったことから、勢いで注文してみた。「まあ、だめだったら1回で止めればいいし」と軽い気持ちだった。
初めて使った印象としては、ニオイは強いし、洗髪後に髪の毛がゴワゴワするのだ。今まで使っていたシャンプーは、リンス入りのものだったので、シャンプーしただけで髪の毛がシットリしていた。
もしかして、使っていたシャンプーも悪かったのかもしれない。そう思いながら、2ヶ月ほど使い続けた。ニオイにもだいぶ慣れて、髪の毛の変化はというと、すこぶる良い。抜け毛が出ないのはもちろんなのだが、髪の毛がまとまっていることで、分け目が分かりにくい髪質になったのだ。
今までは一本一本がサラッとしていたので、髪の毛が外へ外へといくように癖がついていた。それが、スカルプDを使うようになって、天然パーマのような流線型の固定された髪質に変わったのだ。
水にぬれていたら、ひっかりりがあるが、乾くと指通りも良くセットが乱れない。風が吹いてもなびかないようになったので、薄くなっていた場所の地肌が見えることも無くなった。
長い間、シャンプーはシットリする方が良いと思っていたが、そうでは無かったのかもしれない。調べてみると、シリコンが含まれるシャンプーでは髪質が整う反面、抜け毛や地肌への影響が大きいそうだ。
スカルプDはノンシリコンなので、本来の髪質に戻ることができたのかもしれない。もしかすると自分は、天然パーマの要素があったのに、シャンプーのせいでストレートっぽくなってしまっていたのかもしれない。
とにかく、時間をかけなくても髪型がセットできて、薄毛の部分も目立たなくなった今となっては、もう後戻りはできない。
やや金額が高く、続けるのに二の足を踏んでしまうが、1本で約3ヶ月持つことが分かったので、1ヶ月千数百円の若く見られる為の投資だと思って続けることにした。