私は父も祖父も薄毛を患う、一子相伝のハゲ遺伝子サラブレットです。遺伝子の猛威は高校を卒業する頃には徐々に頭角(頭皮)を現し始めました。
成人式を迎える頃には、暴力的なまでに私の毛髪を無慈悲に引き抜き、それこそ前撮りに臨む同世代の女の子達よりも熱心に洗面所で前髪製作に勤しんだ記憶があります。
そんな私もいよいよ三十路が見えて参りまして、ここ数年は仕事のストレスに追われる毎日であります。入社以来ストレスという名の酸に晒され続けた我が頭皮がどうなったかといいますと、一言で言えば「荒野」がふさわしいと思います。
もはや周囲からハゲがどうとかいじりまわされる事も無ければ、今更改めて自分から語る事もありません。完全に一人のハゲたおっさんとしてそれ以上でもそれ以下でもない扱いを受けるに至りました。
コンビニ店員は断固としてレシートに小銭を乗せるし、元気な小学生からは無邪気な罵声を浴びせられる今日この頃。この不幸な宿命と日々懇々と湧き出る仕事のストレスや将来への不安が私を喫編へと駆り立てました。
タバコが頭皮へ悪影響を与える事など、昨今ではフサフサの人でも知っているでしょう。ベテランハゲの諸兄におかれましては、「タバコ吸ってっと禿げんぞ」などと言うのは、あいさつ代わりのジョークですらあります。
私としても自暴自棄でありました。もう生える望みがない事は先代の遺影を見てもイニエスタを見ても明らかでした。 タバコを吸ってストレスが減れば心因的な脱毛は減少するはずではないか?
とか、ハゲでもタバコ吸って渋い感じ出せば、いくらかかっこいいんじゃないか?などと無理やり己を鼓舞してみた事もありましたが、不毛な努力でした。
実際にタバコを吸ってみると分かるのですが、頭皮が少し固まる様な感覚が僕の場合はありました。爪や指で押しても多少感覚が鈍った様な状態です。
初めてその症状に気づいたときは、「これはまずい」と喫煙をやめてみたのですが、そこで驚愕。なんとやめた直後にいっそう抜け毛が激(ハゲ)しくなったではありませんか。
私は専門家ではありませんので、これに関しての学術的な見解は持ち合わせておりませんが、結果的に喫煙を暫く続け、やめると途端に脱毛量が増えたのは私の身に起きた事実です。
個人的な見解では、やはり知らず知らずのうちにストレス解消に役立っていたのでは……と思うばかりでありました。
とは言え、喫煙が他の健康被害もありますし、血管収縮による抜け毛の問題もありますので、全くおススメはしません。むしろこの抜け毛の連鎖になるので、やはり新たに喫煙を始めようという薄毛の皆さまは十分に気を付けて頂きたいと思います。