海藻を食べて頭皮を叩くという情報番組を観て
今から33年前、私が小学1年生の時のことです。私はおじいちゃんとテレビを観ていたのですが、海藻を食べて、頭皮を叩いて刺激を与えると髪が生えるという内容の情報番組が放送されていました。
その頃、おじいちゃんは70歳くらいでしたが、見事にハゲており、食い入るように番組を観ていました。それからおじいちゃんは番組の教え通り、毎食必ず海藻を食べ、朝晩、ヘアブラシで念入りに頭皮を叩いていました。
70才のハゲおじいちゃんが狂喜乱舞
2年後、奇跡は起きました。全く1本も生えていなかった頭頂部に、か細い髪の毛がポツポツと生えてきたのです。おじいちゃんは狂喜乱舞し、家族は心から祝福しました。特に髪の毛に不安のあった直系の男たちには、大きな希望と明るい未来を与えました。
小学3年生だった私は70歳を過ぎたら、髪が有ろうが無かろうがもう関係ないじゃないの?と思っていましたが、嬉しそうに武勇伝を話すおじいちゃんを見ると、やはり髪はあった方が良いのかな?とも思いました。
祖父の遺伝子を受け継ぐ
あれから30年が経ち、私も吹けば飛ぶくらいの前髪しかありません。立派におじいちゃんの遺伝子を引き継いだようです。大人になって、海藻は食べても髪が生えることはなく、頭皮をブラシで叩くと生えるどころか、頭皮を痛めて逆効果だということを知りました。
おじいちゃんも、あの後、髪の毛が増えることはありませんでした。口の悪い親戚は「リアル花咲か爺さん」と言って笑いますが、たぶんおじいちゃんの執念が実を結んだのだと思います。今でも髪が生えたのを見つけた時のおじいちゃんの嬉しそうな顔は忘れられません。