私の髪の毛の元気がなくなり始めたのは、40台に差し掛かったころでした。髪の毛が明らかに細くなり、抜け毛も激しく、毎日鏡を見る度にため息が漏れてくるほどに元気がなくなっていきました。
まるで昨日まで元気に歩いていた老人が、けがをして入院して寝たきりになったとたんにどんどん弱っていくようなそんな状態でした。死んだ父と重なって、とても悲しくなりました。
このままではいけない、父は天命を全うしたと今は割り切れていますが、頭の下の私がまだまだ現役でピンピンしているうちから、私の髪の毛が現役を引退しようとしている。恥ずかしい姿を、せめて人前にさらすわけにはいかない、と私は考えたのです。薄毛に対する策を信じようと決心したのでした。
そして、ずぼらで毎日育毛剤を塗るなどは続かないだろうし、帽子が蒸れるから嫌いでつけるのが嫌なのでカツラは無理だろうと考えた私は、最終的に髪の毛を染めることで、薄毛を隠そうという結論に至りました。
その方がカツラのようにあからさまに分かる変化よりも、染めたいから染めたのであって、決して薄毛を隠すためではない、という自然さを装えるのではないかと予想できたのが決め手でした。
そしてさっそく、私はどうやって染めるのが一番効果的なのか、を調べることにしました。そして似たようなことを考えて、実際に染めたいと考えた友人の友達の体験に行きつきある大きな問題に直面しました。
その友達は、染めることで確かに一時的に薄毛を薄めることに成功しました。しかし、染めたせいで余計に髪にダメージがいってしまい、結果的に、より髪の毛が弱弱しく薄くなってしまったのです。
染めても髪の毛自体が弱弱しくなってしまうので、薄毛がわかりやすくなり、染めてないともう弱ってしまった髪の毛を隠し切れないのです。染め続けなければならない、という悲しい斜め下へと続くエンドレスな絶望への一直線さよならコースへと、歩んでしまっている状況なのだそうです。
だから染めるのはやめておけ、というのが友人の忠告だったのですが、それでも私はあきらめきれませんでした。最終的に、専門家にそこも含めて相談してみることにしました。
そしたら、たまたま行きつけの美容院で世間話がてらに聞いてみたところ、「植物成分由来の自然の色を使った染料があるので、そちらを使えば髪の毛へのダメージが少なくて済む」と、言われました。
試しにそれをやってみることにしました。そして結果として、私の髪の毛は特に大きなダメージもなく、きれいに染めることに成功する事ができました。
髪の毛の色が濃くなったために、薄毛も目立たなくなり、妻や子供にもやっとおしゃれに目覚めてくれたと評判も上場でした。今では、それをきっかけに少し服にも気を遣うようになり、外に出るのが楽しくなりました。染めたいと思ってよかったです。